フンには大量の病原菌が!
鳩がもたらす健康被害と対策
更新日:2021年10月18日
更新日:2020年10月13日
監修:ハト対策防衛隊 隊長 東田 大介
鳩には強い帰巣本能があり、一度住み着いたら駆除するのは難しくなります。
鳩の性質を知って早めの対策を。
鳩を見かけたら、なぜ要注意なの?
鳩の性質を知って、早めの対策を!
鳩の種類は約900種と言われていますが、ここでは皆さんの周りでよく見かける2種類の鳩について説明します。
神社や公園、駅前でいつも目にする鳩は「ドバト」(別名:カワラバト)という種類で、白と灰色の体で首を小刻みに前後させながら歩きます。
ドバトは最も人間の生活に近い存在で、エサの半分以上を人間が与えたものや道に落とす食べ物を頼りにしており、寝泊りや巣をつくる場所もビルや都会の建築物を中心として生きています。気に入った場所に対する執着心が強く鳩被害もドバトによるものが多いようです。
緑の多い郊外などで見かける鳩に「キジバト」がいます。
キジバトは赤茶色っぽい羽の色と首の青い筋模様が特徴で、全国的に生息している鳩です。
種や木の実を好んで食べるので、林や農耕地を中心に生活していましたが、郊外の都市化の影響により人の生活エリアでの共存が目立ってきています。
ドバトに比べると執着心が弱い気がします。
卵を産んでから2、3週間で孵化します。鳩のヒナは成長が早く、約1ヶ月ほどで巣立ちます。
1回に産む卵の数は2個。しかも雄と雌1個ずつと言われています。
第1卵を産んだ後、3日目ぐらいに第2卵を産みます。この2卵を産卵後に、本格的に温めを開始します。
初めは主として雌が温め、1週間前後より雌雄交互に温めます。
米、穀類、豆類を好み、他の鳥類と異なり、動物質は食べないようです。
また、2~3日の絶食に耐え、餌よりも水を重視しています。この辺りは人間と似ていますね。
一説には水の匂いがわかり、水場に近いところに好んで巣を作るとか。
確かに、川沿いのマンションのベランダに被害が多い気がします。
縄張り意識が強く、巣を守り、他の鳩の侵入に対し、徹底的に争います。
一度住み着いた鳩がしつこくやってくるのもこの縄張り意識の強さの現れでしょう。
逆に、今居る鳩を完全に追い払えば他の鳩が来る可能性は低いようです。
鳩は生まれて半年もすれば繁殖期に入り、1日に数回は交尾を行います。
春は他の鳥同様に最も旺盛な繁殖シーズンですが、他の季節も真夏以外はほぼフルシーズンで発情しており、年間に5、6回産む場合もあります。
鳥の産卵といえば春のイメージですよね。春の暖かい季節に、親鳥が虫をくわえて雛に口移しで餌を与えている。
そんなイメージでしょうか。確かに虫が活発に動き出す春に合わせて産卵をしているようですが鳩は例外です。
鳩は喉から栄養分豊富な液体を分泌し雛に与えています。
これを鳩の母乳「ピジョンミルク」といい哺乳類以外の生物がミルクを与えられる珍しいケースです。
このミルクのお陰で鳩は1年中産卵し育雛が可能なのです。
鳩は渡り鳥のように季節によって住みかを移動しない「留鳥」に分類されます。
1年中ずっと同じ街に住みます。仮に何百キロも離れたどこか別の場所に連れて行っても自分の家に帰ってきます。
この優れた帰巣本能を利用し、鳩は昔から人間の手によって改良・育成され「伝書鳩」「通信鳩」といった人間の道具として使われてきたのです。
鳩の帰巣本能の秘密はいろいろと研究されてきましたが、実際のところ何故いつでもどこでも自分の巣に帰ってこられるのか詳しくは解明されていません。
最も有力な説では、地球の磁気や太陽の位置、自分の目や耳・鼻を頼りにいろいろな感覚で帰る方向を見つけていると言われています。
1000キロ近くの距離を1日で帰ってくる鳩もいます。
鳩の夫婦は非常に仲が良いです。一度ツガイになったら一生浮気しないと言われています。
良い条件のドバトだと、1年で5、6回も卵を産みます。小枝を運んできて丸い巣を作り、通常2個セットの卵を産み夫婦で暖めます。
仲の良い夫婦の卵ですから「安全な場所」に産むのは当然。カラスに食べられたり、猫に持っていかれたりしないように普段人が行かないような高い場所や、室外機の物陰などの安心して育てられる環境下に巣を作ります。
特に最近よく聞かれるのは戸建て住宅の太陽光発電パネルと瓦の隙間に巣を作るという被害です。パネルと瓦のわずか10㎝ほどの隙間が天敵から身を守るには良いようです。
一説には、ドバトのご先祖であった「カワラバト」は岩場に住んでいた鳥だったため、コンクリートの隙間を好んで寝床にしているという話もあります。
この様な条件が揃いやすいマンションのベランダが寝床にされてしまいます。
ご近所にも迷惑が!
鳴き声、糞、寄生虫の被害とは
早朝4時ごろから屋根の上で元気良くポッポーと鳴く声や、出窓の上で休んでいる時に鳴く声、飛び立つ時の羽の音などが「騒音」となり、睡眠障害やストレスを招きます。もともと鳥が苦手と言う方から鳩の羽音や鳴き声に「恐怖感」を感じるという声もよく聞かれます。
自分のフンの上で平気で生活できるのが鳩の変わったところで、フンがあると逆に安心するようです。そのため、鳩対策はまずフンの清掃が大切だと言われます。
見た目の不潔感だけでなく、以下のような弊害があります。
特に免疫力の低いお年寄りやお子さんがいる場所は要注意です。鳩が巣を作り、乾いた糞の粉塵が原因で感染症が発症した高齢者向け施設の新聞記事が時々見受けられます。
鳩のフンは早めに掃除するのが一番良いでが、1日に大量のフンをするので、毎日の掃除するのは大変です。また、フンを放置して溜まってしまった場合、マンションの屋上、屋根の上など危険な場所の場合、自分で掃除するのは難しく、専門の業者に清掃と対策を頼んだ方が効率的な場合もあります。
私たちハト対策防衛隊がお手伝いした、鳩のフン清掃と対策の事例をご紹介します。
瓦の窪みにフンが堆積して...
団地の空室に鳩が住み着いて...
鳩が人にかゆみを引き起こす外部寄生虫を連れてくることもあります。
主な鳩の外部寄生虫を挙げます。
家畜・野鳥を吸血するが、鳩が巣立った後など、吸血対象がいなくなると巣から這い出し、人を刺すこともあります。
昼間は鶏舎の壁などに潜伏し、主として夜に鶏を襲います。鳩にも寄生し、人も吸血されます。
鳥類の羽毛にたかり、羽毛や毛皮の屑を食べて生活しています。
鳩に寄生し、人を襲う例が少なくありません。
鳩の体内や、羽毛の中に胞を作って寄生します。
太陽光発電パネルの中でピンポイントに他の部位に比べて温度が異常高くなる場合があります。これは「ホットスポット」と呼ばれていて、パネルの局所的な破損やハンダ不良などによって発生するそうです。そしてこのホットスポットの下に鳩の巣があると引火して火災事故につながる恐れがあります。
「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)」により、無許可で鳩の卵や鳩そのものに危害を加えることは法律上禁止されています。
ただし、管理当局への申請と査察の上、「有害鳥獣」と認められ、許可がおりれば捕獲および殺処分することは可能です。
なお、捕獲にあたっては狩猟免許が必要となる場合があります。
資格や処分方法は各自治体によって異なるため、詳細を問い合わせた上で対処するようにしてください。
ハト対策防衛隊 隊長 東田 大介
一般社団法人日本鳥獣被害対策協会第二期協会長。
北海道から沖縄まで全国の約50社の協会員と情報交換や勉強会を行っている。また、米国BirdBarrier研修に参加し、最新のノウハウを習得。
年間約150件の施工実績あり。